珊瑚礁の斜面が暗闇へと続くこの深みでは、石灰岩の基盤がかつてないほど静粛に広がり、板状珊瑚が幾重にも重なりながら傾斜を下へと刻んでいる。水深60メートルから150メートルにかけての中深帯礁(メソフォティック帯)では、水圧は数気圧に達し、到達する光は赤や橙の波長をほぼ失い、青緑の残光だけが板珊瑚の上面をかすかに照らす。その淡い光の中で、ムチサンゴや疎らなイソギンチャクモドキが緩やかな下降流に従って一方へ傾き、海綿や石灰藻が岩肌を覆って微細な生態系を織りなしている。浮遊する有機粒子が自由に水柱を漂い、上方の淡いコバルトから眼下の漆黒へとグラデーションを描くこの空間は、太陽光の届く限界において、人の目にも道具にも頼らず、ただ存在し続けている世界の姿そのものだ。
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