水深300メートル、ROVのカメラが捉えるのは、上方から滲み落ちてくる微かなコバルト色の残光と、それを取り囲む深い青から漆黒へと溶け込む無限の水塊だ。透明なオキアミやテナガエビ、ガラス細工のようなクシクラゲが、ROVの観測灯がわずかに届く1〜2メートルの範囲でその輪郭を浮かび上がらせ、それより先では生き物たちはシルエットとなって暗闇に消えていく。ここは中深層——「トワイライトゾーン」とも呼ばれる水深200〜1,000メートルの領域——で、圧力はすでに約31気圧に達し、音波探知機がかつて海底と誤認したほど濃密な生物の群れが、昼間は暗闇の中に身を潜めている。マイクトフィッド(ランタンフィッシュ)のわずかに銀色に反射する体輪郭が彼方に揺れる中、突如としてエビの周囲から電気的な青い閃光がひとつ、またひとつと点滅し始め、生物発光の針先ほどの光が暗黒の水中に散りばめられていく。これは地球上で最大規模の日周鉛直移動の序曲であり、夕暮れになれば彼らは一斉に数百メートルもの距離を上昇し始める。