光射す礁頭
サンゴ礁

光射す礁頭

水深わずか2メートル、海面のすぐ下に広がるこの世界では、熱帯の太陽光が波に揺れる水面を透過し、白金色の光の柱となって枝状のミドリイシ(アクロポラ)の群落へと降り注ぐ。砕けた波が生み出す揺らめくコースティクス(光の紋様)が、白灰色の石灰岩の基盤や珊瑚砂の上を絶え間なく走り、サンゴの石灰質骨格が長い年月をかけて積み上げたリーフクレストの建築を、一瞬ごとに異なる光の彫刻へと変え続ける。水圧はほぼ大気圧に等しく、水温は26〜28℃前後、塩分濃度は35PSUほどの安定した熱帯外洋水の中で、アクロポラの枝先には無数のポリプが開いて透明な触手を広げ、共生藻類(褐虫藻)が光合成によって礁全体を生命の代謝で満たしている。ブダイが丈夫な嘴で石灰岩をかじる乾いた摩擦音が水中に伝わり、削り取られた炭酸カルシウムの白い粉末が細い帯となって漂う中、クマノミのペアはイソギンチャクの触手の合間から外の流れをじっと見つめている。波浪のうねりに揺れる岩の裂け目からは一本のイソバナが身を傾け、プランクトンの微粒子が光の柱の中に宙を舞うこの浅い海は、誰も訪れることなく、ただそれ自体として脈動し続けている。

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