緑の藻花水
海草の草原

緑の藻花水

沿岸の浅い海底に、アマモ(*Zostera marina*)の葉が帯状に広がり、淡い泥砂の上でゆっくりと波打っている。水深わずか数メートルのこの場所では、水面から降り注ぐ自然光が植物プランクトンの大増殖によって拡散・吸収され、水柱全体が乳白色の緑に染まり、視界はほんの数メートル先で溶けるように途絶える。葉の表面には微細な付着藻類が薄く堆積し、縁から光合成によって生じた酸素の小さな気泡が静かにつながれており、透過光のなかでかすかに銀色に輝く。この植物プランクトンの霞のなかをミズクラゲ(*Aurelia aurita*)が音もなく拍動しながら漂い、傘の繊細な放射状紋様と口腕の先端が緑の帷の中へ静かに溶けてゆく。光合成生物が織りなすこの水中の草原は、魚類・甲殻類・無脊椎動物の稚仔にとっての揺りかごであり、炭素を隔離し堆積物を安定させながら、人の目とは無関係に、そのリズムで存在しつづけている。

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